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「一緒に死のう」、そんな言葉の裏に隠されたのは、前代未聞の冷酷な犯罪でした。
2017年に神奈川県座間市で発覚した9人連続殺害事件は、平凡そうに見える青年がSNSを通じて接触した”自殺願望者”を標的にした猟奇的事件として、日本中に衝撃を与えました。
そこで今回の記事では、
の4つのポイントに沿って、白石隆浩の生い立ちから死刑執行に至るまでの、全記録を時系列で辿りながら、家族関係や獄中での異様な言動までを深掘りしていきます。
2017年10月、神奈川県座間市のアパートで発覚した「座間9人殺害事件」は、日本の犯罪史においても極めて異例かつ猟奇的な事件として記憶されています。
犯人・白石隆浩（当時27歳）は、SNS上で「死にたい」と呟く若者たちに接近し、「一緒に死のう」と誘い出しては自宅アパートで殺害。
わずか2ヵ月間で、女性8人・男性1人の計9人を絞殺し、遺体を解体・遺棄しました。
犯行の動機は、「楽して生きたい」「女性のヒモになりたい」といった利己的な欲望であり、被害者の金銭や身体を目的とした冷酷な計画性が浮き彫りになりました。
さらに、白石隆浩は遺体の一部をクーラーボックスに保管し、猫砂で匂いを抑えるなど、証拠隠蔽への執着も異常性を際立たせています。
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白石隆浩は、事件前まで「目立たないが礼儀正しい青年」として、近隣住民に映っていました。
高校卒業後はスーパーやパチンコ店で働き、やがて歌舞伎町のスカウトマンとして活動。
特に目立った前科もなく、外見もごく普通の彼が、突如として9人の命を奪う連続殺人犯として逮捕されたことに、世間は大きな衝撃を受けました。
「まさかあの青年が…」という声が相次ぎ、報道では”静かな狂気”や”平成サイコパス”といった表現が使われました。
実際、拘置所での取材に対しても白石隆浩は淡々と語り、「申し訳ない気持ちは一切ない」と述べるなど、反省や罪悪感の欠如が際立っていました。
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白石隆浩は1990年、神奈川県座間市で生まれ、父・母・妹の4人家族で、幼少期は一見「平凡な家庭」に育ったように見えました。
近隣住民の証言によれば、妹の面倒をよく見る「優しいお兄ちゃん」としての一面もあったという。
しかし、同年代の子供たちの記憶にはほとんど残っておらず、「陰が薄い」「何かに怯えているようだった」といった印象が語られている。
集団登校は遅刻が多く、年下の面倒を見ないなど、協調性に欠ける行動も見られたという。
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小学校の卒業文集に記された白石隆浩の文章は、修学旅行の思い出を綴ったものでした。
しかし、その内容は「班の人が先に行ってしまった」「見た映画が幼稚でつまらなかった」など、他者への不満や苛立ちが目立つものだった。
同級生の名前を一切出さず「班の人」とだけ記している点も特徴的で、人間関係の希薄さや距離感がにじみ出ています。
専門家はこの文面から「自己中心性」や「共感性の欠如」を指摘しており、後の犯行との接点を感じさせています。
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中学時代の白石隆浩は、野球部や陸上部に所属していたが、いずれも長続きせず幽霊部員だったという証言もあります。
卒業文集では「部活を通じて成長できた」と綴っていましたが、実際は部活動にほとんど参加していなかった可能性が高いと見られています。
また、近所の主婦の証言によれば、大人の前では礼儀正しく振舞う一方で、子ども同士の場面では冷淡な態度を見せていたという。
このような”二面性”は、後に「死にたい」と訴える女性に優しく寄り添いながら、裏では冷酷な殺意を」抱いていた白石隆浩の姿と重なります。
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白石隆浩は、父・母・妹の4人家族で育ちました。
父親は大手自動車メーカーの下請けで部品設計の仕事をしており、後に独立して自営業を営んでいた人物です。
近隣住民からは「社交的で明るい人」と評されていましたが、白石隆浩との関係は中学生の頃から悪化していたとされています。
白石隆浩は拘置所での取材に対し「父はいつも家にいて、息が詰まるようだった」「早く就職して家を出たかった」と語っており、父親への反発心が強かったことがうかがえます。
また、高校選びも、「就職率が高いから早く家を出られる」という理由で決めたとされ、家庭内に居場所を見出せなかった彼の孤立感がにじみ出ています。
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2010年頃、妹が都内の有名私立大学に進学するタイミングで、母親は妹を連れて家を出て別居を始めました。
表向きは「進学のための引っ越し」とされていましたが、近隣住民の間では「夫婦仲の悪化が原因ではないか」との見方が広がっていたようです。
白石隆浩は母親について「料理が上手で完璧な人だった」と語る一方で、10代の頃にパチンコで多額の借金をして母に金を無心し、関係が断絶したとも述べています。
また、妹が”出来が良い子”として母親に可愛がられていたことに対し、「自分は見捨てられた」という感覚を抱いていたとも報じられています。
このように、家族の中で役割や愛情の偏りが、白石隆浩の内面に深い影を落としていた可能性があります。
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2017年10月、座間9人殺害事件が発覚すると、白石隆浩の家族は一斉に姿を消しました。
実家に残った父親は転居し、母親と妹も事件発覚から数日以内に住まいを離れ、現在に至るまで消息は明らかにされていません。
近隣住民の証言によれば、事件後の実家は「まるで誰も住んでいないようだった」と語られ、表札も外されていたという。
加害者の家族としての重圧と世間の視線が、彼らの生活を一変させたことは想像に難くありません。
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20代前半の白石隆浩は、都内の電子機器販売会社やパチンコ店で働いた後、新宿・歌舞伎町でスカウトマンとして活動するようになります。
女性の声を掛け、キャバクラや風俗店に紹介する仕事で、当初は「人と話すのが得意でない」と感じていた彼も、次第に”口の使い方”を覚えていったと言います。
この時期、白石隆浩は「女性の悩みを聞き出し、共感し、信頼される」スキルを身に付けていきました。
後にSNSで自殺願望者に接近する際も、このスカウト時代の”傾聴”と”誘導”の技術が応用されたとされます。
一方で、スカウト業界の裏側に触れる中で、金銭感覚や倫理観が徐々に崩れていったとも言われ、「楽して稼ぐ」「人を操作する」ことへの抵抗感が薄れていったのは、この時期だったのかも知れません。
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2017年2月、白石隆浩は職業安定法違反（無許可で職業紹介）の容疑で逮捕されます。
これは、風俗店へのスカウト行為が違法とされたもので、3月には保釈されましたが、この逮捕が彼の人生の転機となりました。
保釈後、白石隆浩は実家に戻り、父親と2人暮らしを始めますが、父親との関係は改善せず、「早く家を出たい」という思いを再熱させます。
さらに、逮捕歴があることで就職もままならず、社会的な孤立感と焦燥感が強まっていきました。
この頃から彼は「もう真面目に働くのは無理だ」「楽して生きる方法を探そう」と考えるようになり、SNSを使った新たな稼ぎ方を模索し始めます。
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白石隆浩は拘置所内での取材に対し、「楽に稼ぎたい」「女性のヒモになりたい」と繰り返し語っています。
これは単なる怠惰ではなく、社会との接点を築くことへの諦めと、他者への依存を正当化する思考の表れでもありました。
彼は「自分は働くのに向いていない」「女性に頼って生きる方が合理的」と考え、SNSで「死にたい」と呟く女性たちに接近。
「一緒に死のう」と誘いながら、実際には金銭や性的支配を目的としていたことが、後の供述から明らかになっています。
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白石隆浩は、Twitter上で「死にたい」「消えたい」といった言葉を発言する若者たちに目を付けました。
彼は「一緒に死のう」「自殺を手伝う」といった言葉で接近し、自殺願望者の孤独と絶望に寄り添う振りをして信頼を得ていきました。
使用したアカウント名は「首吊り士」など、不気味なものもありましたが、DMでは極めて丁寧かつ共感的な言葉を使い、相手の心の隙間に入り込んでいきました。
彼はスカウトマン時代に培った「聞き役」としての技術を応用し、相手の悩みを引き出し、依存させるという手法を確立しました。
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白石隆浩は2017年8月、座間市のアパートに転居しており、ロフト付きの部屋を選んだのは、「首を吊るのに適している」と考えたからでした。
彼は入居前から「人間 解体 方法」などのワードで検索を重ね、遺体処理の手順を事前に学習していたことが明らかになっています。
犯行は、睡眠薬や酒を使って相手の警戒心を解き、ロフトから垂らしたロープで絞殺。
その後、浴室で遺体を解体し、頭部はクーラーボックスに保管し、その他の部位はゴミとして廃棄するという一連の流れを作業のように繰り返していたのです。
殺害の動機は、女性に対しては金銭と性的支配、男性に対しては「女性の殺害が発覚するのを恐れたため」と供述しており、状況に応じて動機を切り替える冷静さも見せていました。
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白石隆浩は、被害者とのやりとりを「操作」と表現していました。
「死にたい」と訴える相手に対し、「自分も死にたい」「一緒に死のう」と語りかけ、共感と信頼を装って相手をコントロールしていたのです。
実際には自殺する意思はなく、むしろ「相手が自分に依存してくる過程に快感を覚えた」とも語っています。
また、被害者の反応を見て性的興奮を得る傾向があり、「抵抗されることで興奮が高まった」と供述している点からも、相手の心と身体を支配すること自体が目的化していたことがうかがえます。
さらに、殺害後に遺体の一部を保管し続けた行動には、単なる証拠隠蔽を超えた猟奇的な執着が見られ、事件の異常性を際立たせています。
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座間9人殺害事件の裁判では、最大の争点の一つが「白石隆浩に刑事責任能力があったかどうか」でした。
弁護側は、白石隆浩が精神的に不安定であり、被害者の”承諾”があったと主張し、より軽い「承諾殺人」の適用を求めました。
一方、検察側は「計画性・冷静さ・供述の一貫性」などを根拠に、完全責任能力を主張。
精神鑑定の結果も「責任能力あり」と判断され、精神障害による減刑の余地はないとされました。
裁判所は最終的に、「責任能力が無かったと疑わせる事情は見当たらない」と明言し、弁護側の主張を退けました。
この判断は、白石隆浩の犯行が衝動ではなく、”計算された支配”であることを裏付けるものでもありました。
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法廷での白石隆浩は、終始淡々とした態度を崩さず、被害者の遺族に対しても謝罪の言葉をほとんど口にしませんでした。
「どうせ死刑になるなら、謝っても意味がない」と語ったとされるその姿勢は、遺族の怒りと悲しみをさらに深める結果となりました。
一方、被害者遺族は法廷でそれぞれの思いを語り、「娘はようやく前を向き始めていた」「息子は生きようとしていた」といった証言が相次ぎました。
SNSで「死にたい」と呟いていた被害者たちも、実際には未来への希望を持っていたことが明らかになり、「承諾殺人」という弁護側の主張が、いかに現実と乖離していたかが浮き彫りになりました。
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2020年12月15日、東京地裁立川支部は白石隆浩に対し「死刑判決」を言い渡しました。
判決理由は「狡猾で巧妙、自己の欲望を満たすための身勝手な犯行」「犯罪史上まれに見る悪質性」と厳しく断罪されました。
判決後、弁護人は形式的に控訴しましたが、白石隆浩本人は「控訴するつもりはない」と明言し、2020年12月21日付で控訴を取り下げました。
その理由については「どうせ死刑になるなら、争う意味がない」「演技で謝罪する気もない」と語っていたとされ、反省や更生の意思が見られないまま死刑が確定しました。
この控訴取り下げにより、2021年1月5日、白石隆浩の死刑が正式に確定し、そして、2025年6月27日に東京拘置所にて死刑が執行されました。
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死刑が確定した後、白石隆浩は拘置所での生活において、「家族以外と面会できなくなる」という制度上の制約に直面します。
死刑囚は刑が確定すると、原則として接見交通権（面会や文通の権利）が弁護士と親族に限定されるため、親族との関係が断絶していた白石隆浩にとっては、完全な孤立を意味していました。
この状況に対し、白石隆浩は「誰かと結婚していれば、家族として面会が可能となる」と考え、”獄中結婚”という手段を模索し始めます。
それは、死刑囚として孤独を埋めるためというよりも、外部との接点を確保するために”制度的な打算”だったとも言えるでしょう。
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白石隆浩は拘置所での面会取材の中で、ある週刊誌記者に対し、「僕の”獄中結婚募集”って出してもらえないですかねえ」と”持ち込み企画”を提案しています。
これは、彼自身が掲載された記事を読んだうえで、「折角注目されているなら、誰かいい人見つかれば」と語ったもので、死刑囚としての立場を”メディア露出の機会”として利用しようとする意図が見え隠れします。
こうした発言が報道されると、彼に手紙や差し入れを送っていた女性たちからの連絡はぱたりと途絶えたと語っており、”獄中結婚”という言葉の持つ異様さが、かえって人を遠ざけたことも示唆されています。
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事件発覚後しばらくの間、白石隆浩には手紙や差し入れを送る女性ファンが、複数存在していたとされています。
彼らは「理解者になりたい」「孤独を支えたい」といった動機を持っていたとされ、「犯罪者に惹かれる心理」としてしばしばメディアに取り上げられました。
しかし、白石隆浩が「結婚相手募集」を公に語ったことで、そうした女性たちとの関係は急速に冷え込み、以降は沈黙が続いたと報じられています。
この変化は、「死刑囚とファン」という関係性が、幻想の上に成り立っていたことを物語っているのかも知れません。
いかがでしたでしょうか？
以上、「座間9人殺害事件」の犯人・白石隆浩の、生い立ちから死刑執行までをお伝えしました。