チェロ奏者の上野通明さんが、ジュネーブ国際音楽コンクールで、日本人初の1位を獲得し、話題となっていますね。
難曲と言われる、ポーランドの作曲家ルトスワフスキ氏の『チェロ協奏曲』を、卓越した集中力と技巧で弾き、聴衆を魅了させました。
そんな素晴らしい上野通明さんは、これまでにどんな経歴があるのか、気になる人も多いと思います。
そこで今回の記事では、
・上野通明の出身高校と大学はどこ?
・上野通明の指導者はどんな人?
目次/もくじ
上野通明のチェロの経歴がすごい!
出典元:読売新聞オンライン
上野通明さんは、1995年11月21日に、父親の仕事の関係でパラグアイで生まれ、幼少期は、スペインのバルセロナで過ごしてきました。
2人の姉がおり、一人はピアノでもう一人はヴァイオリンをやっていたため、上野通明さんもヴァイオリンで遊んでいたそうです。
4歳の時に、ヨーヨー・マ(中国系アメリカ人のチェリスト)のビデオ「インスパイアド・バイ・バッハ」を見たのがきっかけで、チェロをやってみたくなります。
そこで、両親にチェロを買って欲しいと頼んでみたのですが、「気まぐれじゃないか」と最初は思われてしまい、取り入ってもらえなかったと言います。
しかし、上野通明さんは諦めず、何度も両親に手紙を書いてお願いをし続けました。
その願いが通じ、1年後の5歳のクリスマスに、やっとチェロを買ってもらうことができたそうです。
上野通明さんは、その時の嬉しさは今でも覚えていると言います。
9歳の頃から頭角を現し始めた上野通明さんは、日本クラシック音楽コンクールなど、数々のコンクールで1位や2位の成績を残しています。
そして、2009年、13歳の時に、「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」のチェロ部門で、全部門通じて、日本人初の1位を獲得する功績を残しています。
初めての国際コンクールで優勝した当時を振り返り、上野通明さんは次のようにコメントしています。
優勝したことで少し自信はついたかもしれませんが、自分にとってコンクールは結果を得ることよりも、より多くの人に聞いて頂けるチャンスが増える手段だと思っているので、結果の良し悪しに過信したり自信を失うことなく、これからもいつも自分をリセットし、初めて臨む気持ちでチャレンジして行きたいと思っています。
引用元:浜松市文化振興財団
その後も上野通明さんの活躍は続き、「題名のない音楽会」に出演したり、ヨーロッパで権威のあるコンクールの一つの、「ブラームス国際コンクール」でチェロ部門1位を獲得しています。
更に、2021年10月に行われた、「ジュネーブ国際音楽コンクール」で、日本人初のチェロ部門優勝となり、次のようにコメントをしています。
最後まで残れたのは運が良かった。大好きな曲を弾けて十分幸せだったが、良い結果を残せて本当にラッキー。もっと腕を磨き、深い音楽をめざしたい。このコンクールをきっかけに、より大勢の人に演奏を聴いてもらえたらうれしい
引用元:yahooニュース
このコンクールは1939年から開催される歴史あるコンクールで、若手音楽家の登竜門として有名で、過去には打楽器で吉原すみれさんや、ピアノの萩原麻未さんが1位となっています。
続いては、上野通明さんがこれまでにどこで研鑽を積んできたのか、学歴を見てみたいと思います。
上野通明の出身高校と大学はどこ?
上野通明の出身高校
上野通明さんは、東京都調布市にある私立の桐朋女子高等学校音楽科に、全額免除特待生として入学をしています。
同校は、音楽科のみ男女共学となっており、また、全国に付属教育機関として「子どものための音楽教室」を展開しています。
・自由で豊かな感性を持つ、個性ある音楽家の育成
・音楽教育による社会貢献
・世界のおける音楽文化の創造
上野通明さんも、2010年から「子どものための音楽教室 仙川別科」で、特別奨学生として研鑽を積んでいます。
そして、在学中に上野通明さんは、Great Mountain Music Festivalやいしかわアカデミーに奨学生として参加し、多くの名匠のレッスンを受けてきました。
上野通明さんの高校時代の主な成績をまとめました。
・2011年 いしかわミュージックアカデミー音楽賞受賞
・2012年 東京音楽コンクール弦楽部門 第2位
上野通明の出身大学
上野通明さんは、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマ・コースに、全額免除特待生として入学しています。
ソリスト・ディプロマ・コースとは、1973年に開設され、「ソリストとして将来性を有すると認められた者を対象に、高度な実技教育を行うこと」と目的としています。
更に、上野通明さんは、2015年からはドイツのデュッセルドルフ音楽大学(正式名称:ロベルトシューマン音楽大学デュセルドルフ)に留学し、世界的なチェリストのピーター・ウィスペルウェイ氏に師事しています。
更に、2021年秋からは、ブリュッセルのエリザベート王妃音楽院でも研鑽を積みながら、日本とヨーロッパで演奏活動を行っています。
上野通明さんの大学時代の主な成績をまとめました。
・2016年 青山音楽賞 新人賞受賞
・2018年 ヴィトルト・ルトスワフスキ国際コンクール チェロ部門 第2位
・2021年 ジュネーブ国際コンクールチェロ部門 第1位
上野通明の指導者はどんな人?
指導者①:毛利伯郎氏
出典元:テレビ朝日
上野通明さんを小学生の頃から指導してきたのは、毛利伯郎氏です。
毛利伯郎氏は、桐朋学園を経て、ジュリアード音楽院で学び、ジュリアード・オーケストラ首席チェリストになっています。
日本帰国後は、読売日本交響楽団のソロチェリストに就任し、現在は、同交響楽団首席チェリストを務めています。
上野通明さんの、ジュネーブ国際音楽コンクール1位の知らせを受けて、毛利伯郎氏は次のようにコメントしています。
子供の頃からずばぬけた感性の持ち主で、正統的な演奏で聴き手を感動させることができる。本選をインターネットで見たが、大地に根を張ったような安定した弾きぶりはすばらしかった。
引用元:yahooニュース
指導者②:ピーター・ウィスペルウェイ氏
出典元:Mercure des arts
上野通明さんの指導者のもう一人は、オランダのチェロ奏者のピーター・ウィスペルウェイ氏です。
上野通明さんがデュセルドルフ音楽大学へ留学してから、師事しています。
ピーター・ウィスペルウェイ氏は、アムステルダム、アメリカ、イギリスで研鑽を積み、1992年にチェロ奏者としては初めてオランダ音楽賞が贈られています。
現在は、世界各国でリサイタルを開催し、主要オーケストラとも共演を重ねています。
いかがでしたでしょうか?
今後も活躍が期待される上野通明さんを、引き続き注目していきたいと思います。